「よく考えたらさ」
「うん」
「最近のドキュメント不足や口伝の文化って、昔はよくあった話なんだよ」
「えー」
「パソコン雑誌が大量の非公開情報を載せてフォローしていたが、更にそこからこぼれて口伝化した技術情報まであった」
「まさか」
「マイコン時代はそんな時代だった」
「えー」
「それを考えれば、今の状況はそれの繰り返しでしか無い」
「それに意味があるの?」
「ある。それを乗りこなす方法論も知っている」
「つまり、ここからはオレのターンだってことだね」
「あたぼうよ」
「嬉しいかい?」
「ぜんぜん嬉しくは無いけどね」
「どうして?」
「無駄な手間が増えるんだぜ。それに人類の進歩は否定された、いきなりスタートラインに戻るんだから」
「ぎゃふん」